English

大学に入ってから英語が大嫌いになった。


もともと嫌いだったわけじゃない。英語は小学校の頃から塾で勉強させられていた。中学2年の頃に英検準2級を取得した。周りにはまだそれほど英語を勉強している人がいなかったので、当時はそのことが一つの強みだった。高校に入り、進学校だったこともあり英語は可もなく不可もなくといった成績に落ち着いた。
受験の時期になって成績が伸びなくなった。Z会や塾の模試なんかで何度も実践したけど、結局偏差値は最後まで上がらなかった。そのくせに英語至上主義の大学に入学してしまったのも何かの運命かもしれない。
大学は英語が得意というより、もともと英語を話せる連中の集まりだった(もちろん英文科の話ではない)。今までの英語教育が何の役にも立たないことを知るには絶好の場所だった。ヌーの群れに迷い込んだ子山羊のようなものだ。あらゆる場所で踏みつけられ、体も心も朽ちていくにはもってこいの場所だ。
英語の講師はほぼ外国人。そのせいかやたらコミュニケーションという方法をとりたがる。何かにつけてディスカッション、毎回のように自分の意見を(もちろん英語で)述べさせられた。さらにはずっと話していないと授業を始めない講師までいた(この授業は半月でギブアップした)。日本語で言えないようなことを英語で言えといわれても無理な話。結局、ほとんどの授業は前期の終わる前に挫折した。英語に対する抵抗は増えるばかりだ。
そして現在もそんな状態が続いている。むしろひどくなっている。英語を見たり聞いたりするだけで気分が悪くなる。今では、小学校時代に楽しみにしていた英語の授業がひどくばからしく思えてくる。むしろ憎しみをもって過去を振り返らせてくれる原動力となっている。

英語で話したいと思った時期はあった。むしろずっと話せるようになりたいと思っていた。今ではそんな思いさえ、実に胸糞悪い過去の出来事のように感じている。この嫌悪感は当分消えることはないだろう。
それでも英語を勉強しなくては、大学は卒業できない。近いうちに、掃き溜めの中の腐った食事を漁る浮浪者のような状態で、英語の文章にかじりついている自分がいるかもしれない。そんな状態になったらなったで、気分はまた変わるんだろうけど。